新年明けましておめでとうございます。
会員企業の皆様には令和8年の年頭に際しお健やかにお過ごしのこととご拝察申し上げます。
60年に一度の「丙午」。「丙も午も火の性質を持つことから情熱的で力強い年」とも言われているようですが、さて今年はどんな年になるのでしょう?
高市新政権の経済政策について全貌が見えてこない現状ですが、コロナ後「新たなインフレの時代が来た」ことは明らかです。しかし、日本が大きく成長した「高度成長期のインフレ」とは異なり当初「賃金インフレ」で始まった経済は、円安によって物価高に拍車がかかり、更に人手不足による供給力不足も加わり「令和のインフレ」は過去の定義を覆す「異質のインフレ」とも受け取れる状況です。プライマリーバランスを軽視した積極財政は更なる「円安」を招きエネルギーコストの上昇だけでなく「企業物価指数」の押上圧力は強まるのでしょう。
それに対応し中小企業が生き残るための一つの道である「価格転嫁」の進捗率が昨年来から50%程度と話題になっていますが、私たち小規模企業・中堅企業に於いてはこの「価格転嫁進捗度」が大きな課題になると思います。
差別化された価値が明らかに存在する「ものやサービス」は「価格転嫁進捗率」が高められるものの、「差別化がしにくいものやサービス」は価格転嫁率が低く抑えられ、そのために企業間格差が広がることが予想されます。
「どうしたらよいのか?」
今後、この点を中心に会員企業の皆様と共に策を練っていきたいと思います。昨年ソシオスクエアに新設された商工会議所で新体制を組みしっかりと取り組んで参ります。
「経営改善の基本フレームワーク」
このような時に最も大切なのは、経営戦略に奇策を練るのではなく、経営の基本戦略を忠実に土台から作り直すことが最大の近道であると考えます。その過程の中で何かの「気づき」に出会え、結果大きく事業転換できるものです。
そこで私が学んできた取り組み方を「経営改善の基本フレームワーク」として左図のように書いてみました。
自己の人生観を土台に「経営理念・経営哲学」を現在の経営者自身の率直な気持ちで確認し直してみること。一流の経営者には必ず理念・哲学があり、それなりの決意があるものです。ただひたすら仕事に追われ、息を切らせて仕事を終える日々。そのような展開の先にあるのは、疲労感です。
しかし、自らの生き様や生きる意味を心に刻みつつ前に進めば、仕事をしているその一瞬に何気に充実感を感じられると思うのです。理念とは究極的に「人に喜ばれること」「顧客やクライアントに喜ばれること」と思います。媚びへつらいインセンティブをつけて「喜んでもらう」のではありません。
この「理念・哲学」については、今後の機会に順次私の考え方をネタに皆さんと一緒に掘り下げて考えていきたいと思います。
「自社の本質」を見極める
次に「自社の現状分析」です。
上図のフレームワークには、経営判断のための数字を各種求めていますが、まずどこの会社にも必ずある決算書だけの範囲で説明してみます。しっかりと何かを読み取るために比率を出します。売上対売上原価率、売上総利益率、経常利益率、即ち比率で出してみるのです。そしてそれを数年並べてみる。必ず数字は上下して変化している筈なので、変化した時に何があったか(人的側面も含め)を良く思い出してみるのです。変化していない場合は、何故変化していないのか? これも良く思い起こしてみることです。 何をしたのか? 何があったのか?
売上だけを何年か並べてみてもその変化の中から何かが掴める筈です。注意しなければいけないのは、「心の中の言い訳やエスケープ」です。素直に是は是、非は非と認めることが大切です。自社の理念・哲学をオンして経営すると正しい道(戦略)を見出すことができると思います。
売上・売上原価・経常利益・商品別売上と粗利・会社の場所や形・設備・人(自分)・取引先などについても同じように考察を繰り返していくのです。
結果には必ず原因があるので、その原因を突き止めていくのです。良い数字についても悪い数字についてもその原因を見極めていくのです。それが「因果律の発見」ということになります。そうして得た自社の現況、自社の構造、自社の人材などが「自社の本質」ということです。こういうやり方をしているから営業力が優れている・劣っている、こんなやり方で造っているので技術力が優れている・劣っている。商品・製品の差別化ができている・できていない。これが「自社の本質」です。
そして「勝利の方程式」へ
本質を見極めたらどうしていくか戦略を立てるのです。
私の持論では、弱点を是正するのではなく、強みを伸ばす方が良いと思います。「強み」とは、当然その事業、仕事、商品に力があり利益率が高い筈ですから、強みを磨けば更に競争力は高められ、事業成功の常道に繋がります。これが「勝利の方程式」となるのです。
新年早々から、経営の具体論に入っていきました。改めて丁寧に「現状把握」してみると新たに何かに「気づく」ものです。そこで大事なのは「問題意識と感性」です。
新しい年、会員企業の皆様にとって良い年になりますことをご祈念申し上げております。
熊谷商工会議所 会頭
栗原 良太

