畳ヤマギシ本店

経営支援

創業百年
畳店の原点回帰と挑戦

昭和元年創業の畳ヤマギシ本店は、国産畳表専門店として新床製作・表替え・畳小物・襖張替えを提供し、地域に根差したものづくりを続けてきました。代表の山岸功治さんは3代目。先代の想いを受け畳業の発展に尽力し、若手畳職人の育成や技能伝承の一翼も担ってきました。
畳市場は今、住宅の洋風化や新築需要の減少で縮小傾向にあるものの、衛生面や断熱性など畳の本質的価値は再評価され、リフォーム・表替え分野で安定した市場を維持。今回の経営支援レポートでは、創業100年を機に高付加価値商品へ事業転換し、化学素材主流から天然素材中心へと原点回帰する老舗畳店の挑戦を追い、経営のヒントを探ります。

経営支援REPORT畳ヤマギシ本店

創創業以来、地域と共に歩んできた畳ヤマギシ本店。畳の製作や畳表替えで住空間を支える事業を続けてきました。100年にわたり培われた技術と信頼は同店の大きな財産です。現在は山岸功治代表と熟練の職人が伝統の技を守り、畳素材を活かしたバッグやクッションなど畳小物も製作。地域の畳店と連携した「たたみぱわーず」の代表も務めるなど、業界全体の活性化にも貢献しています。地域に愛される老舗として歴史と伝統を守り続ける一方で、時代のニーズを的確に捉え、新たな挑戦を模索する姿勢こそ、100年企業として存続してきた原動力でしょう。
駅から徒歩5分の店舗に入ると感じるのは「い草」の香り。訪れる人を癒やしてくれます。「本物の畳=天然い草は、防腐剤不使用で抗菌・抗ウイルス性。実は現代の住環境に適していて近年再評価されています」と山岸さん。「お客様一人ひとりの暮らしを豊かにしたい」と国産天然い草にこだわった商品に再注目。肌に優しく、触れても安全で、抗カビ・抗菌・抗ウイルスに優れた効果を発揮する「絢葉6」や、銀より極微小の粒子で抗菌・防臭加工した「ナノプラチナ畳」を売り出しました。

畳ヤマギシ本店

しかし、時代の変化は老舗にも大きな課題を突きつけます。洋風建築の増加に伴う和室の減少は、畳の需要そのものを少しずつ奪っていきました。これまで通りの事業を続けるだけでは、将来の展望を描きにくい。山岸さんは「畳屋としてただ待っているだけでは駄目だ」と危機感を抱いていました。また、日々の業務に追われるあまり売上や利益の見直しが後回しになってしまうのはよくある話。「実際、何か新しいことを始めて、一年やって確定申告しないと、どのくらい儲かってるか分からない。やってみたら赤字だった、意外に黒字だったという状況が続いてました」と打ち明けます。
創業100年の節目に「何か新しいことに挑戦して未来を確かなものにしたい、具体的な一歩をどう踏み出せば良いのか、糸口を見つけたい」と考えていた矢先、「個別相談会のお知らせ」が舞い込みました。

漠然とした危機感と未来への想いを抱える中、大きな転機が訪れたのは2025年4月のことでした。専門家による個別相談会に参加した山岸さんの当初の目的は、創業100年を記念するPR活動に活用できる補助金について相談すること。
この相談会が、単なる補助金の申請支援に留まらない、事業全体の未来を描くための大きなきっかけとなったのです。経営指導員と中小企業診断士は、山岸さんが長年胸に秘めていた「本物の畳の良さを伝えたい」という想いや、天然い草へのこだわりを丁寧にヒアリング。
そして、補助金獲得だけでなく、その先の事業の成長を見据えた「経営革新計画」の策定を提案しました。経営革新計画のテーマは「天然い草を活用した高付加価値商品の開発・販売」。熊本県八代産の希少な天然い草を用いた畳「絢葉6」「プラチナ畳」を改めて、自社の主力商品として展開する戦略です。これは、化学素材の畳が主流となる中で、あえて国産・天然素材にこだわり、健康や環境に配慮した本物の畳の価値を再提案する「原点回帰」の挑戦でした。

畳ヤマギシ本店

支援のもと、この新事業を軸とした具体的な計画策定がスタート。専門家との面談を重ねる中で、これまで曖昧だった売上や経費、利益の計画が「見える化」。4年後には新事業で150万円の売上を達成するという具体的な数値目標を設定。看板製作や広告出稿の時期を定めた行動計画、事業拡大に伴う人員計画など、未来への道筋が明確になっていきました。同時に「畳の表替え」もPR。畳表を裏返したり、畳表と畳縁を交換したりするメンテナンス方法で、12月の表替えシーズンに向けた販売促進を展開する予定です。

同店は今年、熊谷うちわ祭「奉納うちわ」スポンサーとして、「おかげさまで創業100年」の文字で地域への感謝を伝えました。今後もPR活動の強化でBtoC市場へシフト。
地域イベントやWS開催を通じて、畳の良さを広めることで業界の知名度向上にも繋げたいと意気込みます。
商工会議所の支援は、計画書の作成代行ではありません。経営者に寄り添い、共に未来を考える「伴走支援」です。畳ヤマギシ本店の事例では、持続化補助金の申請と経営革新計画の策定を同時並行で進めることで、通常は半年近くかかるプロセスを約3ヶ月に短縮。専門家との対話を通じて、経営者は自社の強みや課題を客観的に見つめ直し、確かな根拠に基づいた経営計画という「羅針盤」を手にすることができました。金融機関からの融資で優遇金利を適用されたり、計画実行後も専門家による無料フォローアップが受けられたりすること、何より経営者自身が会社の未来を具体的に描き、自信を持って事業を推進できることが最大の成果です。
熊谷商工会議所は、皆様の挑戦を全力でサポートします。ぜひ一度、ご相談ください。

畳ヤマギシ本店

所在地:埼玉県熊谷市筑波3-168
営業時間:8時~18時
TEL:048-521-3645
定休日:日曜日
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